こんにちは2018年の5月にα7iiiを購入した。
私はα7iiユーザーだったので、ハイエンド機であるα7Riiiに背伸びするか、α7iiiに順当にステップアップするかでかなり迷った。
この記事で述べたいことは
「4240万画素が必要でなければα7RⅢよりα7Ⅲが断然オススメ。α7Ⅲの方がダイナミックレンジ、AF性能も高い。差額でレンズを揃えた方が満足度高い」ということである。
α7iiiを使い込んでいくなかで見えて来たことは、実は
・α7Riii→ ハイアマチュア向け
・α7iii→ プロ・一般ユーザー向け
であり、大多数の人間はα7iiiを購入したほうが幸せになれる確率が高い。ということだ。
使い込んでよく分かってきたけど
どちらかというとα7Riii→ハイアマチュア向け
α7iii→プロ向けだわ
— shu🇯🇵 (@from_exp) 2018年7月17日
私の意見は上の一文にすべて集約されるのだが、具体的な理由各論について述べていきたい。
理由① 4240万画素写真は撮影後の編集フロー・データ管理を致命的に圧迫する
4240万という途方もない画素数について本当に必要か?
α7iii | α7Riii | |
カメラ有効画素数 | 約2420万画素 | 約4240万画素 |
---|
それぞれの一枚あたりの圧縮RAWデータ容量は
α7Riii 45MB程度
α7iii 25MB程度
これだけ大きいデータ量があると撮影後のワークフローやデータ管理を直接圧迫する。
具体的にいうと
・LightRoomでの操作がもっさりする。写真の移行、選択、読み込み、書き出しなど。
・SDカードからのデータ読み込み移行や、外付けHDDへの保存に時間がかかる。単純計算で倍の時間
・DVDなどに書き出す時間、枚数、手間が多くなる。
・PCそのものの処理スペックも求められる。(25MBでもMacbookAir i5/4GBではきつかった)
・SDカードも容量も大きいもの(おそらくα7Riiiではデフォルトで128GB)が必要となるためコストが一気にあがる
(私は今α7iiiに64GB≒RAW2000枚ほどのSDカードを標準として使用しているが一回の撮影で1000枚以上取ることもザラなので64GBでも結構カツカツ)
<参考> ソニーα7にオススメのSDカードは『SanDisk サンディスク Extreme Pro』
・バックアップをとるHDDの容量が倍必要なる。
プロの視点からこの撮影データの容量の問題を見た場合、
「撮影→現像→納品まで」を考えると「撮影」はあくまでワークフローの一部に過ぎない。撮影技術が最も重要であるのは間違いないが、高画素というのはスペックの一つなのであって、要求を満たしている限り納品された4240万画素か、2420万画素のカメラでとられたのかということについては受け手は断言してもいいほど気にされない。むしろ重たいデータは敬遠される。大切なのは撮影→編集→納品/保管のフローを効率的にまわしていくバランスのいい機材選定だろう。この場合α7iiiのほうが最適といえる。
知り合いのフォトグラファーを見ていても、jpegはデータサイズをあえて要求されている仕様のサイズまで落として撮影している。
つまりいたずらにα7Riiiを選択する場合、RAW撮影時は永久的に45MBの超大容量ファイルと格闘しなけれないけないことになる。
またそれを支える周辺機器やPC機材などの機材もかなりのスペックと金額が必要となる(単純にストレージで倍のお金、時間も倍)
一般ユーザーの私ですら一回で1000枚近い撮影を行うことを考えると、これはかなりきつ〜い呪縛だ。
私だけでなく、これは多くの方に該当するのではないか?
写真が趣味の方のカメラの使い方は、「撮影して、ディスプレイで鑑賞、加工し、SNSに投稿。ごくたまに印刷する」といった用途が多いはずだ。
この場合、α7iiiの解像度で完全に十分であるということを強調しておきたい。
ただ、4240画素にはロマンがある。
α7Riiiを所有している友人と撮影に行った際にカフェに入って画像をレビューしているときに「ちょっと見てみ。」と差し出されたRiii撮影の画像。
「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!こ、こんなところまで写ってる!!!」この感動はやっぱり超高画素ローパスレス機のRiiiでないと味わえない。ここは完全にロマンの世界だ。
もうひとりのカメラ関係の友人もロマンを求めてあえてαRiiiを購入していた。
また、建築、風景写真や商業写真を専門に撮影し、ビルボードに写すような大きく引き伸ばす写真を撮影するフォトグラファーは、いわずもがなこの4240万画素を使い切ることができる。
つまり4240万画素のα7Riiiが必要なのは大きく以下ふたつに分類される。
・高画素撮影そのものを楽しみたいハイアマチュア
・広告や風景を撮影し大きく引き伸ばす可能性があるプロ
下でも述べるが、
α7iiiはカメラとしてのスペックのバランスがよく高次元でまとまっており、写真が趣味の方からプロまで幅広いユーザーの要求をほぼ完璧に満たすことができる。
α7Riiiへ関心を持っている一般的なユーザーは自分が本当に4240万画素を求めているか、再度考える必要がある。
ロマンに憧れ、その足元に潜む足枷を忘れてはいけない。
理由② APS-Cモードによる画角切り替えはα7iiiでも実用的だった。
私が購入検討時にα7Riiiこだわっていたのは、
画角をボタンひとつで切り替えることができる「APC-Sモード」を高画素で積極的に利用したいと考えていたからだ。
※α7iiiではC3ボタンに機能を割り当てている。
この機能のメリットは図り知れない
・55mmの単焦点レンズ一本で旅行時、APS-Cモードボタンをポチッとおすとあら不思議、換算約80mmのポートレートレンズに早変わり。
・SEL24105Gなどの便利ズームレンズもボタンひとつで望遠側が157mmになる。もう70200のレンズ買わなくてもそこそこ戦えるじゃん!
これは後でクロップすればいいじゃん。という話とは全く次元が異なる、
なぜならフォトグラファーにとって「ファインダーはキャンパス」だからだ。構図の組み立て、フォーカス、すべてをファインダーで完結する必要がある。
高画素機のα7RiiiだとAPS-Cモードのときですら、一般的なフルサイズ機の解像度に匹敵するサイズ5168×3448を維持できる。
α7iii だと3936×2624になるため、この便利機能は「α7iiiでは実用に耐えないのでは?」「撮影した画像の作品性が失われるのでは?」
と、実際に確かめもせずに漠然と考えていた。
α7iii | α7Riii | |
カメラ有効画素数 | 約2420万画素 | 約4240万画素 |
---|---|---|
記録画素数 (縦横比3:2) | <35mmフルサイズ時> Lサイズ: 6000 x 4000(24M) Mサイズ: 3936 x 2624(10M) Sサイズ: 3008 x2000(6.0M) <APS-C時> Lサイズ: 3936 x 2624(10M) Mサイズ: 3008 x 2000(6.0M) Sサイズ: 1968 x 1312(2.6M) | <35mmフルサイズ時> Lサイズ: 7952 x 5304(42M) Mサイズ: 5168 x 3448(18M) Sサイズ: 3984 x 2656(11M) <APS-C時> Lサイズ: 5168 x 3448(18M) Mサイズ: 3984 x 2656(11M) Sサイズ: 2592 x 1728(4.5M) |
先日21.5インチFullHDディスプレイを自宅に導入しやっと自分の目で確かめることができた。
α7iii のAPS-Cモード撮影したデータをで全画面/等倍/拡大表示しあらゆる方向から確認したところ非常に詳細に美しく写っていた。
web上で作品を見せるくらいなら全く問題はない、作品性が失われることもない。と私は自分の目で見た確信を持って伝えたい。
※参考記事 >>【写真現像モニター】駆け出しカメラマン向けに最高!の安いディスプレイをオススメしたい。
もし気になるのなら、手持ちのカメラで3936 x 2624に近いサイズで撮影して自分の環境でレビューしてみてほしい。
ノートパソコンではく大型のディスプレイで表示し、実際に紙に出力して確認してみてほしい。
参考まで、印刷する際に基準となる300dpiのA4サイズ出力に必要な画素数は3508×2480なのでα7iiiはAPS-Cモードで撮影してもA4(300dpi)くらいまでならきれいに印刷が期待できる。
また、フォトコンや納品データの画素数指定などでも3000×2000/1000万画素 あたりが私が気にしてみているかぎり主要な規定になっていると思う。
ぼくはこの「APS-Cモード」による利便性は、α7iiiでも完全な実用基準に達していると判断した。
理由③ α7iiiの方が、高感度耐性が微妙に高い
超画素機の宿命なのだが、センサーを細かく分割することによって原理的にセンサー全体としての集光量がおちてしまう。(※)
これは「障子」の木枠のマス目が増えれば増えるほど光を通す面積が小さくなることを考えて貰えればわかりやすい。
α7はオンチップレンズや裏面照射構造など、様々な技術でその弱点を補っているのだが、
より画素数の低いα7iiiのほうが高感度撮影におけるダイナミックレンジ(撮影素子が認識できる明暗差の幅)とノイズ耐性が高い傾向にある。
私自身はRiiiで高感度性能のテストをしたことがないが、α7iiからの比較だと劇的によくなっておりISO6400までは常用できる。
α7iii、α7Riiiを同時所有している友人は「結構違う」と言っており、結局データ処理が重くなる点と高感度耐性から、Riiiを手放し差額でSiii購入予定とのこと。
※Sシリーズは贅沢に素子を設置して集光効率を上げている。蛇足だがα7Riiiは超高画素機の割に高感度撮影が可能なモンスターマシンであることを忘れないでほしい。
α7iii | α7Riii | |
ISO感度 (推奨露光指数) | ISO100-51200 拡張: | ISO100-32000 拡張: 下限ISO50 上限ISO102400 |
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まとめると、
α7Riiiとα7iiiの高感度性能は同程度以上、もしくはα7iii のほうが高い。
ノイズに関しては画素数が異なると一概に比較が難しいので、自分で撮影したデータ(もしくはwebの比較記事や下記リンク先など)を見て納得いくまで確認する必要がある。
データソース
理由④ AF性能はα7iii が優れている。
後発のα7iiiはα7Riiiと比較してトータルのAF性能がすぐれているといえる。
「AF検出エリア」 はα9(位相差693点、コントラスト25点)とα7Riii(位相差399点、コントラスト425点)のいいとこ取りの神スペックである。
「追従性能」 に関してはα9の最大60回/秒演算に及ばないがαRiiiと同等性能とのこと。
α7iii | α7Riii | |
測距点数 | 693点(位相差検出方式) 425点(コントラスト検出方式) | 399点(位相差検出方式) 425点(コントラスト検出方式) |
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まとめ 「4000万画素がどうしても必要でないなら、差額でレンズ買ったほうが満足感が高い」
α7Riiiとα7iiiのスペックの間に埋め用のない差として存在しいるのは何より「画素数」であり、他の高感度性能、AFなどの性能はα7iiiが同程度がより高い。
それでいてコストは10万円以上の差がある。 つまりローパスレス4,240万画素(とEVFの綺麗さ)に10万円払うか?とシンプルに考えることもできるだろう。
僕は、セミナーなどでちょこちょこ出入りしていたソニーショップ銀座の店員さんが言った言葉が決定的となった。
「4240万画素が必要でなければα7RⅢよりα7Ⅲがオススメ。α7Ⅲの方がダイナミックレンジ、AF性能も高い。差額でレンズを揃えた方が満足度が断然高い」
これはさすがの至言である。おお〜と超納得したのを覚えている。
カメラの本質はレンズ+センサーだ、写真の写りや作品性に命を吹き込むのはレンズによるところが大きい。
いくらボディに金をかけても写真はレンズで撮るのである。そしてレンズはボディよりもはるかに耐久性能の高い資産なのである。
ボディの差額でSONY Eマウントの至宝の単焦点レンズである>>SEL55F18Z ※を購入しても金額が余ってしまう。
※レビュー記事→ >>https://from-exp.com/sony-sel55f18z
ここに、35万円の予算があるとしよう、
<選択肢①> 349,880 円+税
α7Riii (349,880 円+税 ソニー公式ストア)
<選択肢②> 合計 328,880 円+税
α7iii 229,880円+税
SEL55F18Z 99,000円+税
どちらを選ぶかはあなた次第だ、
私は自分の体験談から、ボディは「α7iii」を選択肢しレンズに投資することを強くおすすめしたい。
以上。
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