こんにちは。
今日は ”高いオイルがいい。いやいや交換頻度が重要で。” などなど
エンジンを保護するという視点や、コストパフォーマンスの観点から複雑な議論になりがち、そして尽きることの無いオイル交換の議論に終止符を打ちたいと思います。
といっても正確には一つの考える指針を提示したいと思います。
まず、オイル交換というものを質×頻度で分類するとざっくり1〜4にの象限に分類されると思います。
※分かりやすくするために高いオイル=質の良いオイルとします。
① 高いオイルを高頻度で交換
② 安いオイルを高頻度で交換(結論からいうと私はコレを勧めます)
③ 高いオイルを低頻度で交換
④ 安いオイルを低頻度で交換
ここで最もエンジンにとってベストな選択は質のよいオイルをガンガン変える①です。しかし下手するとリッター3千円を超えるオイルを湯水のように使うことは多くのライダーにとって現実的ではありません。
一般論でも、感覚的にも、②もしくは③がパフォーマンス/コストで優れているように感じます。
では実際に、今回は①〜④について簡単なモデルを用いて劣化のシミュレーションしてみましょう。
設定
・縦軸=オイル性能…質
最も大切な潤滑性能をイメージします
オイルの機能(①潤滑②密封③冷却④緩衝⑤防錆⑥清浄)と多く有りますが、簡略化します。
・横軸=乗車回数 乗車し熱が入るに従いオイルは酸化し劣化します。
トレールの方なら乗車距離に置き換えて考えて頂いてもOKです。
・オイルの劣化スピードは高いオイルも安いオイルも同じで、一次関数的に劣化すると簡略化します。
(本来、劣化は二次曲線的に進み安いオイル3、4の傾きは1,2より急になると思われます)
・良いオイルの性能の約半分以下をエンジン的にきびしいゾーンとします。
シミュレーション
交換頻度の高い象限の①、②は3回乗車毎(トレールの方は1000 km毎など)に交換
交換頻度の低い象限の③、④は6回乗車毎(トレールの方は2000 km毎など)に交換 とすると…
このモデルだと②が③よりも安全で、①よりも安く済みそうですね。
→結果 ②安いオイルを高頻度で交換がオススメ
次に、みなさんが疑問に思っているのは、
“安いオイルを頻繁にっていってもどこまで安いオイルならええねん!?”ということでしょう。
鉱物油、半化学合成油、化学合成油など種類はありますが、私は
「”貴方”がレースで使ってもいいかな?と思えるオイルのなかで一番安いオイル」を落とし所としてオススメします。
安いオイルという方向からアプローチするなら「安いオイルの中で、このあたりからならレース使っても大丈夫そうかな。というオイル」です。
練習用に安いオイルで、レースでは高いオイルと使い分ける。というのもありですが、保管、管理の手間や、交換時にうまく容量が合わない端数が出ること、練習、レースとも同じフィールを得られる(←大事)を考慮すると同じ銘柄で揃えることをオススメします。
続いて交換の頻度、
これは実際に使ってみて、フィーリングを感じ、自分でオイル交換をし、オイルの状態を確認する。
自分の感性を信じて判断するしかありません。
こうした日々の練習で培われた感性こそが、レースやギリギリのシーンで生きてくるのだと思います。エンジンがギリギリの所でまだ行けると思うか、もう持たない、とクールダウンするか。全ての判断は唯一のパイロットである貴方に委ねられて居ます。
マシンと対話をしオイル、エンジンのタレ具合を感じてください。ギリギリで行けると信じプッシュして栄光をつかむも、誤ってエンジンブローするのもあなた次第。
こういった感性を磨くことこそエンデューロの楽しさだと思います。
※参考まで
ギアの入りが渋くなったあたり、レーサーの場合3〜4回がめどになるかと思います。私はWR250Fは3回で交換してました。
最後に、
するどい方がお考えになるのが、③良いオイルをながく使えばええやん。というもの。
たしかに劣化スピードの遅い(過酷な状況にさらされても性能を維持できる)良いオイルは長く使うこともでき、結果としてコストも、②安いオイルをこまめに買えた場合 とほとんど同じレベルになるでしょう。
ただ、落とし穴ともいえる重要な事実、それは
バイクに乗ることがオイルに対する影響は、いつも一定ではない。ということです。
ツーリングペースで油温も上がらずに流すような練習と、ハードに追い込む練習、イゴイゴし冷却水がふいてしまうような練習。オイルに与えるダメージは同じとは思えません。
したがって、できるだけ頻繁に変えるほうが、長時間交換しなかった場合の一回一回のオイルダメージの違いによるブレによる影響を考慮しなくてよくなります。
この観点から、安いオイルをこまめに変えたほうがいい。という説は非常に理にかなっているといえます。
逆の視点からいうと、こまめにオイルを変えることにメリットがあるからこそ、頻繁に交換できるだけの安価なオイルを選ぶ。
つまり③高いオイルを低頻度で交換ではなく、
②安いオイルを高頻度で交換しましょう。という理由になるのです。
以上みなさんのオイル選びの参考になれば幸いです。
では。
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