旧ソ連のオールドレンズJupter12を入手しました。お気軽に35mmを使いたいということが購入に至った理由です。
L(M)マウント35mmのレンズで約2万円以下で入手しやすいものは、おそらく七工匠とこちらのJupiter 12ではないでしょうか。
>>【レビュー】七工匠 7Artisans 35mm F2 は入手容易で「まぁまぁ良い」レンズ。ライカMマウント
私は旧ソ連製のJupiterのシリーズのがとても好きで50mmのjupiter8と85mmのJupiter9ともに所有しております。Jupiterシリーズの中で比較すると、35mmのJupiter12は日本での流通量が少なめで入手が難しいです。ツァイス・ビオゴン3.5cmF2.8のコピーでレンズ描写は素晴らしいという前評判でワクワクでした。
Jupiter 12 使用感と外見
実際に所有してみた雑感です。
●写りはシャープで繊細、モノの質感を捉えるのが得意。
ライカよりもカールツァイス的な方向性です。(あたりまえですが)
●F2.8のためボケ感の派手さは少ないが全体的に控えめで上品な印象
●非常にコンパクトかつ軽量で負担がすくない。
●後玉が出っ張りのため扱いが難しい。
とくにL/Mリングを装着した後にキャップが閉まらないのでハンドリングが面倒に感じました。
●フードの機能も備えた鏡胴デザインがかっこよい。
レンズの前玉がかなり奥まったところにあります。絞り環は飛び出して設定されていてレンズフードの役割をはたしております。
このレンズの特徴でありデメリットでもあるのは後玉が大きくせり出していること。他のレンズと比較して扱いは難しいです。
Jupiter12自体はたいへんにコンパクトで軽量なレンズになっております。実測で約100gでした。
Leica Mに装着します。装着のためには>>L/Mリングが必要です。
なお、Leica M (Typ 262) 、Leica M3、Sony α7iiiでは問題なく使用ができましたが、Leitz Minolta CLでは後玉が測光アームに接触するため使用できませんでした。おそらくLeica M5も無理です。
※なおミラーレスα7系で使用する時もLマウント→Mマウントに変換(アダプター)し、さらにMマウントからEマウントに変換の2ステップが必要です。私はクロースフォーカスが可能なアダプターを使用しております。
Jupiter-12 作例
トーンがやさしく美しいレンズですが、コントラストは強めに出る印象をかんじます。
ツァイスビオゴンコピーといいつつ実際はの設計を簡略化したレンズのようですが、写りの傾向はツァイスそのままと思いました。ハイライトがプリプリしてシャドーが閉まり気味になるあのツァイスのイメージです。
湾曲に関しては、使用時は全く気になりませんでした。こうやってレビューしながら画をみているとありますね。
部屋から他のレンズと撮り比べた雲ですが、Jupiter12でないと出せなかったトーンです。
ボケへのつながりを目で追っているとどこかゾナー(Jupiter8)らしい雰囲気を強く感じさせます。私がこのレンズをゾナー光学系のjupiter8の延長の気分で自然に扱えているのは、そもそもビオゴンがゾナーの光学系に後群を加えた親戚関係ということが理由かもしれません。
この暖簾を撮影したときの質感表現には驚きました。
開放F2.8で派手さはありませんが、これまで使用してきたオールドレンズの中ではたいへん良く映り、なによりも安定感を感じます。Jupiter8や9は旧ソ連的な荒涼とした大地の風景やガサツでじゃじゃ馬な印象を強く感じさせたレンズですが、Jupiter12の印象はもう少し欧州に近く気品すら感じる端正な描写のレンズです。ええ、その見た目はドギツイですが。
上に書いたように35mmの入手が安易なレンズは7Artisansの35mmF2.0があります。
現代的な扱いやすさ、汎用性重視なら7Artisans
オールドレンズの描写、軽さ、面白さ重視ならJupiter12が私のおすすめです。
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