【レビュー】七工匠 7Artisans 35mm F2 は入手容易で「まぁまぁ良い」レンズ。ライカMマウント

M-mount-lens

七工匠 7Artisans 35mm F2 単焦点レンズ ライカMマウント(3520LMB)を入手しました。

 

ライカレンズの35mmF2クラスのレンズの中では最も入手しやすい一本で実際に使ってみると、35mmでライカ標準といえる画角で開放F2.0の明るさがあり最短撮影距離も70cmで非常に扱いやすく、お値段は3万円前後(2020年8月現在)とまるでバーゲン品のようなレンズです。

 

 

7Artisans 35mm F2の外観・スペック

アルミニウム合金の鏡胴のずっしりとした質感やヘリコイド、絞りリング(1段刻みです)の感触は価格以上によいのです。また重さ180gで軽量のため気軽に扱うことが可能。、一方で、機能や描写には全く関係ないことですが、文字が封印ではなくプリントで安っぽさを感じます。このあたりがどうしても愛着を持てない要因かもしれません。

レンズにはズミクロン3rdのような扱いやすい指かけが設定されています。

 

ピント調整が可能です。私は新品で購入しましたが、ピントは調整の必要がなく正確でした。

F1.1の偽ノクチルクスはピントあってませんでした。
>>七工匠 7artisans 50mm F1.1はもはや万華鏡。

 

<スペック>

焦点距離:35mm(35mm判換算)
フォーカス:MF(マニュアルフォーカス)
対応撮像画面サイズ:35mmフルサイズ
絞り:F2-F16
レンズ構成:5群7枚(高屈折低分散ガラスレンズ1枚)
絞り羽根:10枚
フィルター径:43mm
最短撮影距離:0.7m
サイズ:Φ53mm×45mm
質量:約200g

 

7Artisans 35mm F2の作例

 

ボディはLeica M Typ262です。

 

描写に関しては”意図的に収差を残し、レンズのキャラクターと描写の美しさを具現化”とありますが、さすが現代のレンズなだけあって弱点がなく安心感があります。レンジファインダーで伝統の画角35mmを不安点なく使いたい場合、価格を踏まえずとも魅力的な選択肢だと思います。

 

直線で構成された建物など構造物を撮影すると多少周辺部の湾曲が気になりますが、あきらかな違和感を感じるほどではないように思います。「味」として目をつむりましょう、ええ、安いレンズですから。

カラーは非常に発色が良く原色がしっかり濃く乗ってくれ、コントラストも高めな印象です。
気をつけなければ、ボケの雰囲気と合わさってケバケバしい中華圏の繁華街のような色の印象すら感じますが、
うまく扱うととても印象的な絵になると思います。レンズレビューでなくなりますが、ライカでなければまずこういう色は出せませんね。   

50mm〜のレンズと異なって、35mmF2.0のボケ感はまるで肉眼でみるように自然で作為的なわざとらしさがなくとても心地よいですよね。このレンズはボケの質感を細かく見ていくと二重線があったり多少うるさめと言わざるを得ないと思いますが、35mmのボケを許容できる懐の広さのおかげか大きなマイナスには感じません。そもそも私はゾナータイプの量感のあるボケ感が大好物だからかもしれません。(Jupiter8,9,Zeiss C sonnar 50mmが好きなレンズです。)このレンズも5群7枚ゾナータイプのレンズ設計です。

 

モノクロでの作例

 

35mmで一本目に最適な安価(5〜8万円前後)なレンズ。とその選択肢たち

 

・Jupiter12 (35mm F2.8) 
 ロシア製のオールドレンズで開放F2.8ですが、描写は素晴らしいです。
 またかなりコンパクト。最短撮影距離が1mと後玉が飛び出ているためハンドリングが悪いというデメリットがありますが、それさえ許せるなら1万円前後で入手できるのでおすすめです。 

・Zeiss Biogon T*2/35 ZM


・Voigtlander ULTRON Vintage Line 35mm F2 Aspherical VM 

・Voigtlander NOKTON classic 35mm F1.4 II SC VM 

 

この中で私が七工匠 7Artisans 35mm F2 を選んだ理由は新品で圧倒的に安かったからというどうしようもないものです。LeicaのMマウントレンズラインナップ戦略として50mmと28mmを揃えようと考えておりました。35mmはあまり重視していない画角だったためおてがるに試して見たかったのです。

まとめ 一番になれないけど良いレンズ。

きっと、ライカのボディを使用している方はこのレンズをメインとして扱いつずけていくことは(精神的に)難しいのでは思います。4番バッターとして主力にはならないが、代打はばっちりこなしきってくれるーつなぎー。このレンズはそういった宿命を背負っているように思うのです。
誰かの一番にはなれない、過剰な期待もされていない、ちょっと試してみたいから。使って用がすめばかんたんにメルカリで投げ売りされてしまう。
開放F2.0、最短撮影距離も70cm、お値段は3万円前後で弱点らしい弱点はなく、間違いなく…良いレンズです。
ぼくはそんな宿命をもつこのレンズをなぜか愛しいと思ってしまうのです。

 

 

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