みなさん、代官山のアシエンダデルシエロ hacienda-del-cieloというお店をご存知でしょうか。
僕は地方からの上京組なのですが、東京での社会人生活のうち
もうかれこれ数十回、数え切れないほどつかい倒しているお店です。
この店のどこが良いか具体的にいうと、おしゃれ、食事の楽しさ、コスパ、がどれも平均以上であることはもちろん、“非日常の演出”がたいへんに優れているという点です。
ちなみにこのお店はHugeというお店が運営していて、リゴレット(六本木、銀座、中目黒、横浜)ARATAとかも同じ系列です。
どの店舗も非常に安心感がありますね。(ただ、ちょっと飽きます。)
その展開コンセプト”モダーンメキシカン”というよくわからないニッチな料理のブランディングで、うまく成功したお店だと思います。予約の電話をしてみてください。一発でこの会社のブランディングの方向性、巧みさが分かります。
で、そのなかでも僕はこのアシエンダデルシエロというお店がぶっちぎりに大好きなんです。
1.非日常の演出装置 ”エレベーター”
ぼくはこのお店の価値の50%は9Fにあるお店と地上の入り口をつなぐちょっと変わったエレベーターだと思っています。
現実から非日常への切り離し装置としての役割を抜群に発揮しているんです。
現象を箇条書きしても伝わらないので、小説風に描写してみます(笑)
(とある日の20時、、、)
代官山の駅からぎこちない会話をし、5分ほどあるいただろうか、次になにを話そう。ということに夢中になっていると、見落としてしまうほど存在感のない案内が左手にあらわれる。
オフィスビル?と感じるような、清潔というよりも無垢という言葉の似合う通路がある。
(ああ、ここだよ。)
とその道をまがった奥に、とてもここが飲食店に通じているとは信じられない無機質なひんやりとしたエレベータホールがある。
(え、ここ?)という彼女の表情を確認し、無言で上という矢印のボタンを押す。
(チンッ)という乾いた音がして銀色の冷蔵庫みたいなエレベーターの扉が開く。
まるでマトリックスという映画の乗り物のようだ、天井からのうすら白い光にてらされて輪郭の浮かび上がる銀色の立方体、そのエレベーターに乗り込む
(あれ、何階だったかな。)とかろうじで店名が表示された9Fのボタンをみつけて押す。
無言で扉がしまり、足元に重力を感じエレベーターが音もなく動き出したことがわかる。
ほとんどインジゲーターとしての意味をなしていない消えそうな赤い表示が1….2…..3…..4…..と数えるに従い、エレベーター内は、ボリュームを絞るようにだんだんと照明が消えていく。
(え?暗くなるの?)
人間は本能的に暗闇を恐れるようインプットされているのだろう。
5…..6….7….8….
不安げな表情もお構いなしにどんどんとエレベーター唯一の光源はその力を弱めていく
ほとんど真っ暗になってしまったエレベーター内に二人。
ソリッドな空間に無言の緊張が高まる
……..9(チンッ)
ゆっくりと開くドア、その隙間から無言のエレベーターに賑やかな音が流れ込み、
目の前に真っ赤なタイルの通路が現れる。左手には慌ただしく爆発寸前で回転中ののキッチンで火が上がる。
(Hola〜いらっしゃいませ〜)どこからともなく声がかかり、
ここは店内なんだ。と気付かされる。一気に鬱陶しいまでにラテンの音楽、人の談笑、食器の音、が聞こえていることにふと気づく。
(受付はこちらです。)との声に、まるで目の前の蛇のモチーフのとぐろに巻き込まれるかのように、店内をぐるっと、どんな人が来ているんだろう。と周りを見渡し、一歩後ろの彼女との距離を把握しながら受付に辿りつく。
「こんばんはshuです。20時から2人で予約を」
「お待ちしておりました。shuさん」いつもの青いシャツに髪をジェルでかき上げたチーフが微笑む。
…そうなんです(笑)
ここのエレベーターは階があがるにつれて照明がだんだんと暗くなるように設定されていてなんとも言えないドキドキ感が演出できます。
ぼくはこの特別なエレベーターに乗ることがちょっとしたアトラクションに乗るよりも好きで、長い間「なぜ、このエレベーターにのるとドキドキできるのか?」その理由について分析をし続けていました(笑)
その結果、大きく2つの効果を持っていると結論付けます。
①非日常への入り口としての効果
1.”千と千尋の神隠し”でも車で長いトンネルを通ることで現実から物語の世界へと入って行きます。
2.「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」川端康成の雪国という小説の有名なフレーズです。東京での生活と雪国の世界が切り離されます。
3.”君の名は”でも口噛み酒が祀られている洞窟がタイムスリップするための場所として重要な役割を果たしています。
いつも不思議と、日常から離れてしまう場所や非日常への入り口はトンネルとか、洞窟とかそういうものなんです。上の3つの例は物語の話ですが、現実世界にもこういった特殊な役割を担う場所や装置というものは確かに存在しています。このエレベーターもまさに非日常へ誘う魔力をもっています。
②コントラスト効果
よくマーケティングだとか心理学で使われるアレですね(笑)
AとBの商品があり「この商品Aは10万円です」といったあと「こちらBは1万円です」というと本来1万円の価値のないBでも安く感じてしまったりする、人間の心理です。
アシエンダデルシエロではこのエレベーターがその作用:落差を与えます。
・暗い→明るい
・無機質→鮮やか
・静か→騒しい
・狭い→開放
対比による効果を、これでもかとうまく効かせています。
このエレベーターに乗ることで普段の東京のkusoみたいな生活との文脈をぶった切ってくれて、その後の時間をワクワクする予感みたいなものを感じさせることができるとおもいます。
こういう導入にストーリーをもって来れるお店はあまりないですね。
ぶっちゃけ、このお店が1Fか2Fにあると普通のちょっと内装が凝った単なるお店です。
エレベーターにはタイミングを見計らってできるだけ二人で乗るようにしてください(笑)
ちなみに帰りのエレベーターは絶好のキスチャンスです!
ぼくはここでファイトして、いやと断れたことしかありません!
おしゃれ
まず代官山という街自体が、おしゃれな街として認知されています。
店内自体も全体を通しラテンのコンセプトに沿いきれいにデザインされております。
もうひとつこのお店の価値の一つ25%が、この蛇のシャングリラ?
お店に来た人間は全員、このモニュメントをぐるっと受付まで廻るように導線が設計されていて、無意識のうちに螺旋をかけ回るような、この蛇に巻きつかれているような、そんな感覚を与えている気がします。
不思議の国のアリスにも螺旋階段をぐるぐるするシーンありますよね(笑)
たぶんこの蛇に、人間を物語に巻き込むパワーがあると思います。
…まぁ深読みしすぎにしても、モニュメントそのものとして非常に印象的です。
料理とコスパ
味は、初見では結構楽しめるとおもいます。が、料理としてのゾクゾクしちゃうウマイもの。ではないと思います。でも雰囲気でかなりいけちゃいます。
料理の味もよいんですが、やはり特筆すべきはコストの方で、サラダとか前菜(1品500円)とかメインたべて、2〜3杯のんで2人で5〜6000円に収まってしまいます。今まで7000円台の会計は記憶に御座いません。
ちなみにぼくは大体、メインにはFAJITA ファヒータを頼みます。
ざっくりいうと肉と野菜炒めをトルティーヤという薄い生地で包んで食べる食べ物です。ちょっと食べにくいんですが美味しいですよ!
ほんとの好きな理由は、フランベしてくれるからです(笑)
都会に住んでいるとまず生の火をみる機会がありませんから。
ちなみにこの画像は友人たちと行った原宿の系列店です
このお店の使い方
まず、お店は大きく5ゾーンほどに分かれており、座るゾーンですべてが決します。
①バーカウンター
②バーカウンター周辺の禁煙席
③一番広いホール
④テラス
⑤室内のテラス席
私のオススメは①の受付近くと②です。
理由は相手と正面を向いて座らなくていいので緊張しないこと(笑)と、蛇のモニュメントに近く、見上げて楽しい、また動きのあるバーカウンターが見えるから。
残念ながら、この2つは指定での予約はできません。。でもダメ元で行くとなぜかだいたい座れてしまいます。
冬だと①にハイチェアがあるんですが、夏はスタンディングになります。夏は④も開放的でいい雰囲気です。
テラスから
もし2軒目いくなら…
代官山はおしゃれエリアという認知がありますが、残念ながら飲食店が発達していません。
単発では数点良さげなお店はあるのですが、アシエンダデルシエロからうまくつながるトーン&マナーがあり、文脈的にも深まり、距離的にもピッタリ(駅とデルシエロの中間)なお店は私は1店しか知りません。
XEX daikanyamaというお店です
ここのthe bar が好きです。
かっこいい黒人の方がピアノ引きながら歌ってくれたりするので、もうすこしお酒をのむもよし、酔い覚ましコーヒー飲みながらボケっとしているだけでもちょっと上品で優雅で楽しいです。
座っただけで1,000円取られて1杯1,000円くらいしますが(笑)
このお店はランチで行きたいと思ってます(誰か行きません?笑)
ではよいTokyoライフを〜
”https://from-exp.com/daikanyama-date″
Comments