いまから20年以上も前、とある田舎に住む少年の話だ。
物心がつきはじめた少年は、オイルの匂いが充満する父親のガレージに忍び込み、掛かっているポスターを見るのが好きだった。
壁に手を付き見上げ続けた、どこまでも連なる砂丘と、疾走する一台のバイク。その風景は少年を強烈に引きつけた。
知りたかった。もしそのポスターの世界に行くことが出来たなら何がみえるのか。山と田んぼ、家の周り半径500mが彼の全てだったけども、この風景は自分の知らない外の世界の何処かに有ると直感し、恋い焦がれていた。
風景の写真には、人間の想像力を刺激し、インスピレーションを与える力があると思う。
そのリアリティには、危険を冒し、何かを賭してでもその場所に立ってみたいと思わせる力があると思う。
アフリカの大地溝帯で生まれたホモ・サピエンスは、なぜか6万5,000年前にアフリカを離れ世界中に広がった。
世界に拡がった彼らを祖先にもつ僕達は、まだ見ぬ景色を見たいという本能的欲求をきっと持っている。
「50mmの画角」はその人間の眼に最も近いそうだ。
「50枚の写真」のなかに、たった一枚でも貴方を駆り立てる風景があれば嬉しい。
Have a nice journey!
Comments
定期的に来てますがやっぱりグッと来ます
人物の50枚もですが…
この記事に出会ってから初めて買った50ミリのレンズへの愛着というか固執というかwが止まりません
そして他の焦点距離のレンズ欲しー欲しー病が発症しなくなりました、ありがとうございます
写真ってボディでもレンズでもなくてやっぱりその場所に居てカメラを持っている事が一番なんだなって毎回思い出させて頂いてます
素敵な記事ありがとうございます(*^^*)